Q’s diary

生焼けの随想

2025-01-01から1年間の記事一覧

対岸から来た書物

過酷なソ連の強制収容所で20年を過ごしたVarlam Shalamov、36歳で爆殺されるまでパレスチナ解放闘争に人生を捧げたGhassan Kanafani、遺作"Suicide"の原稿を出版社に送った10日後に自殺したÉdouard Levé、心の病と薬物に苛まれて生きたAnna Kavan、そうした…

意識の車窓

毎日、私たちはいろいろなものを見て、感じて、考える。「走馬灯」という言葉があるが、日常生活も長く続く走馬灯、あるいは旅の車窓のようなものだ。そして、その車窓を見ている乗客は私たち自身だけではない。私たちのアイデア、創造性、心、そうしたもの…

生きること

鳥たちが、虫たちが、草木が、生命力を弾けさせている。命の奔流。生きるということは、このくらい烈しい熱量の爆発だということを教えられる。 生きるとはどういうことなのかを知りたければ、殺してみるがよい。一寸の虫がいかに激しく足掻くことか。しかし…

悪徳としての反省

「反省します」だれかがそう言うのを聞くたびに、いったいそれはどういう意味だろうかといつも不思議だった。たとえばこれを翻訳しようと思ったら、何と訳せばいいのだろうか。ぴったりと対応する訳語がないだけならまだしも、そもそも語義すらわからないこ…

許してはいけない

許しなさい、それが美徳だ、とよく教えられる。本当は許したくなくても、相手が謝ってきたなら許してあげなくてはいけないのだという。そうしないことは心の狭さだという。しかし、本当にそうなのだろうか。そもそも、許すとはどういう意味なのか。果たして…

Calling

"Calling"という言葉がある。世俗的な言葉では職業とかキャリアの意味に近いが、単にそれだけではなく、与えられた使命というような意味を持つ。 Callingは目先の承認のために骨を折ることとは違う。みんなにちやほやされて人気者になったとしても、かりそめ…

諦めたときが人生のはじまり

あなたはずっとがんばってきた。すべてができるという幻想を抱いてがんばってきた。100点を取っても、賞をもらっても、十分ではなかった。埋められない穴があった。がんばって、がんばって、その末にどこまでも自己を破壊をしてきた。 あなたはずっとがんば…

何者にもならないための3つの方法

人生、何者かにならなくてはいけないわけではないが、でもなりたい人は少なくない。私も、きっとあなたもそうだろう。 何者にもなりたくない、がんばる気がない、という人は別にどうでもいい。しかしどうもがんばっているように見えるのに、何の成果にもつな…

水を注ぐ

飲食店でご飯を食べているとき、水を継ぎ足してくれるタイミングに注意を払ってみてほしい。ごく普通の店、気が利かないなと思う店、そして不思議とぴったりほしい瞬間に足してくれて、もういらないと感じたらなぜか声もかけてこない店がある。きっと、よく…

孤独はあなたを自由にする

自分は宇宙人のようだ、という人にときどき出会う。わかるなあ、と思っていた。でもしばしば、なんだかちょっとその人とは感覚が違う気がしていた。そういう人は、だいたいは「(発達特性等に起因して)頭の中の作りが実は他の人と違うから深いところでわか…

四角い権利を丸く使え

「ルール上は許されていても本来想定されていないような行為をすることは長期的に自由の敵だ」というような信念がある。それは、あまりに多数派の傲慢であり、はるかに直接的に自由を奪うものだと思う。たしかに一理ある場合もあるかもしれないが、そうやっ…