バカって言うやつがバカ

他人がバカだと思ったら、あなたがバカなのです。他人の置かれた状況、持っている情報、その他もろもろの条件が異なるのに、なぜあなたと同じ思考で同じ結論に至り、同じ行動を取らないことをバカだと思うのか。その想像力の欠如がバカなのです。

他人がつまらないと思ったら、あなたもつまらないのです。その人はつまらないかもしれないけど、あなたもつまらない。相手が自分の食いつける話題を提示してくれないのはわかったけど、あなただって相手が食いつける話題を提示できてない。それって同類じゃないですかね。お似合いですよ。あるいは、相手のほうが本当につまらないかもしれない。でもまた別の人、もっとおもしろい人から見たら、あなたはやっぱりつまらない人に過ぎないのです。話題の引き出しが少ないし、気の利いたことも言えない人。他人をつまらないといって裁いたら、次はあなたが裁かれる番。

他人がめんどくさいと思ったら、あなたも同じくらいめんどくさい。生きていたら、だれしもめんどくさくなるときはあるのだから、受け入れなさい。なんたって死者ですらときどきめんどくさいくらいなのです。それなのにいちいちぶつぶつ文句を言うあなたがめんどくさいことに気づきなさい。文句を言わなくても不機嫌になるなら、それでも十分にめんどくさいことに気づきなさい。

他人が差別的だと思ったら、あなたもきっと同じくらい差別的だということに気づきなさい。いま話題にしている特定の事柄では相手のほうが差別的かもしれないけど、あなたもきっとほかの事柄では差別的なのですよ。自分が安全圏にいると思うのはやめなさい。差別を叩いているつもりで、あなたこそ思いっきり差別してるかもしれないし、そうだとしてもあなたはそれに気づけない。聞く耳を持ちなさい。自分が絶対的正義を持っていると思うのはやめなさい。お互いに、学んでいこうじゃないですか。

他人が過ちを犯していると思ったら、あなたも過ちからは逃れられないことに気づきなさい。しょせん、あなたもわたしも人間なのです。思い上がってはいけません。

他人の行いに問題があると思ったら、それがあなたに何の関係があるかを考えなさい。そのせいであなたがよい人間であれなくなるのですか? そうだとしても、それはあなたの問題ではないのですか? あなたの心持ちが、あなたを害しているだけです。他人があなたを害しているわけではありません。あなたに関係のないことにとらわれて、心を乱して、いったい何がしたいのでしょう。他人のことは放っておきなさい。もしそれでも関わりたいなら、相手をよくするために関わりなさい。腹を立てることは、その役には立ちません。

それでもだれかが自分を害していると思ったら、それに怒って何の役に立つのかを考えなさい。そうすれば問題が解決するのですか? 怨嗟を撒き散らして、関係ない人まで巻き込んで、どうしたいのですか? あなたの感情はあなたの持ち物です。あなたはあなたの感情の持ち物ではありません。淡々と対応しなさい。離れる必要があるなら離れなさい。でも、あなたの大切な感情まで相手に売り渡す必要はないのです。

だれかが自分を益してくれたら、素直によろこびましょう。勘ぐるのは後でいいのです。相手にどんな意図があろうと、あなたが与えられたことに違いはありません。生きていればプラスもマイナスもあるのです。なのになんで、後でマイナスがあるかもしれないからといってプラスの出来事に対してまで心をマイナスにするのでしょう。そうするなら、ちゃんとマイナスの出来事に対しては心をプラスにしてますか? マイナスに振り切れたらあとは上がるしかないから、喜びの極致にありますか? そんなことないですよね? そういうのをダブルスタンダードって言うのですよ。

だれかが自分を助けてくれたら、素直に助けられなさい。与えられることを拒んではいけません。それはあなたが半人前だという意味ではなく、あなたを一人前以上にしてくれるための助けなのです。あなたは感謝して、もっと先に進めばいいのです。

だれかに恩恵を受けたら、そのことで罪悪感を感じる必要はありません。その人に返す必要なんてないからです。また別の人に恩を送っていけばいいのです。そうすればあなたの元に借りは残りません。そうやって世界は回っていくのです。恩という貨幣がたくさん流通するほど、みんな豊かになるのです。経済学の基本でしょう?

だれかががんばっているなと思ったら、あなたも同じくらいがんばっているのです。その人は見えるところでも、見えないところでもがんばっているけど、あなただって同じようにがんばっている。その人をたたえて、自分もたたえなさい。

だれかが尊敬できる人だと思ったら、自分も同じくらい尊敬できる人であると自信を持ちなさい。他人を尊敬できる心は、謙虚に学ぶことができる。他人を尊敬できる心は、ねたまない。他人を尊敬できる心は美しい。そんなあなたは尊敬に値する。

だれかを愛せるなら、あなたは愛されることもできる。信じなさい、あなたは愛される資格がある。だれも、そうじゃないとあなたに告げることはできない。あなたは、愛されない関係に甘んじる必要はない。あなたは、ここにいていい。