たとえだれも見てなくても

うそをついてはいけない。それは人にバレて怒られたり嫌われたり不利益を蒙るからではない。そういうケースもあるだろうが、それはうそが下手なだけだ。

どんなにバレないケースでもうそをついてはいけない。なぜならあなたは必ずあなたがついたうそを知るからだ。あなたがうそつきだと知るからだ。

これは一般の悪行や善行に共通だ。誰も見ていなくても、気づかなくても、あなたは自身はあなたの全行動を知っている。これは恐るべきことだ。

そうしてあなたは日々、あなた自身がどんな人物であるかの印象を形成していく。それは積み重ねの結果であって、変えようとして変えられるものではない。常日頃の行動によってのみ形成される。

あなたが悪行を重ねていれば、あなたは、あなた自身を悪人だと見るようになる。あなたは、あなたのことを「他人から尊敬されるに値しない人間だ」と思うようになる。それはあなたから前に進む力を奪う呪いだ。

加えて他人もきっとあなたと同じように生きていると思うのが人の常だから、他人もうそをつき、ばれないとわかれば悪行を働いていると思うようになる。この考え方は人生を台無しにする。他人を頼ること、他人を愛すること、他人を尊敬することができなくなる。

あなたが悪行を重ねれば、あなたはすべての人間を嫌いになる。どんな他人の優しさもあなたを救えない。孤独にすらなれない。だってあなたは、あなた自身と仲違いしているから。

だから、幸せに生きたければ、善い行いをすることだ。他人が見ていても、見ていなくても。そんなのはどうでもいいことだ。だって少なくとも自分は見ているのだから。そしてあなた自身を好きになり、それを通して全人類を好きになることだ。