家族関係について

家族関係は難しい。家族とうまくいっていなくてその愚痴ばかり言ってくる人には近寄りたくない。だって、その人自身もその「家族」の一員だから。その愚痴の対象となる家族と同じくらい、本人も悪い可能性があるから。

もちろん個別の事例によっては家族が一方的に悪いかもしれないけど、逆に本人が一方的に悪いことも同様にあり得る。でも一番多いのは、両方がそれぞれ違う方向で悪いことだろう。愚痴をこぼしたくなるのはわかるけど、お互い様であることを客観視できていないなら危険だ。だって、そういう性格なら親以外の人間に対しても同じ問題を起こす可能性は高いから。家族というのは、良くも悪くも鏡だから。実際、虐待あるいはそれに近い状況で育った人々と話すと、残念ながらその人たちも他人との関係、とりわけ将来の本人の子供との関係において同様の問題を生じるだろうなと思うケースは少なくない。同じような虐待をしそうな場合もあるし、逆にそれを避けようと願いすぎるばかり逆の極端に振れそうな場合もある。

ただ、突き詰めていくと、家族関係がうまくいかないのは、どっちも悪くないとも言える。結局は、相性の問題なのだろうから。それは運でしかない。たまたま親と相性が良く生まれたからうまくいく人と、相性が悪く生まれたからうまくいかない人がいる。それだけのことだ

ここで危険なのは、親と幸運にもうまくいった人が、子ともうまくいくとは限らないことだ。子は違う方向性を持って生まれて来るかもしれないから。そういうとき、家族とは仲が良くて、距離が近くて、考えが一致して、幸せにやっていけるものだとずっと信じてきて、それでうまく生きてきた人間は、対処することが難しい。だって自分自身の生い立ちがあまりに良すぎるから。親子関係の不和なんて考えたことないから。親をうっとうしく思う子の気持ちを味わったことがないから。

だから、けっきょくのところ、その人が将来子供や他人とうまくやれるかどうかは、単純に親とうまくいっていたか否かで測ることはできない。そうじゃなくて、家族も含めて他人は別人格だということ、だから一定の距離が必要だということ、そして人と人の関係というのは必ずしもうまくいくものじゃないし、そう望むべきものでもないこと、そういうことを理解していること、実践できることが大事なのだろう。