スイッチをパチンと

スイッチというとどんな姿のものを思い浮かべるだろうか。某ゲーム機ではない。一般名詞の方だ。ボタンではなくて、二つの状態、オンとオフを持つもの。

まあ、なんでもいい、ちょっとそれを思い浮かべてほしい。それで頭の中でおもむろにパチンと切り替えるんだ。切り替わっただろうか。そう、それでいい。

そうしたら、そのスイッチを何かに接続するんだ。電灯とかにつなぐわけじゃない。あなた自身の行動に接続するんだ。スイッチを入れたら立つ。切ったら座る。単に想像上でやるんじゃない。想像上のスイッチを、実際のあなたの身体の動きに対応させるんだ。単一の動作でできたら、次は一連の流れに対応させよう。布団から出て、着替えて、身支度を手早くして、家を出る。その流れをスタートさせるスイッチにしよう。そしてそれを朝になったらオンにするんだ。何も考えてはいけない。自動的に動く。途中で止まってもいけない。スマホとか触るのはダメだ。ただ自動的に流れ作業で家を出る。一旦家を出てしまえばもう大丈夫だろう。そう、朝なかなか動き出せない時はこうやって対処すればいい。

感情につなぐことだってできる。恐怖心とか、不安とか、嫌悪感とか。どうしても気が乗らないけど送らないといけないメッセージは、下書きして送信ボタン一発で送れるようにしておく。そして、パチンと嫌な気持ちのスイッチを切って送信する。これは簡単だ。一秒だけ切れればいいから。したくない電話もスイッチを切って三秒でアドレス帳を開き、発話ボタンを押してしまう。何を喋るかとか事前に考えようとすればするほどできなくなる。勢いではじめてしまえばいい。嫌いな食べ物も、スイッチを切り替えた瞬間に口に運んで一気に咀嚼する。これは吐きそうになるからちょっと難しいけど。

いずれもある行動を開始するスイッチとして使うべきだ。開始したらもう止めづらい行動であるとよい。スイッチによって「何もしない」というのは難しい。余計な思考がぐるぐる回ってしまうから。スイッチを入れて、無心で何かの動作をする。部屋の掃除でもいい。そうやって自分をうまく制御できるようになると、たぶん日々が幸せに過ごせるようになると期待している。