カコケイのカンケイ

人生を生きていると、いろいろなところで、いろいろな人間関係を築いていくことになる。初対面からはじまって、だんだん打ち解けていって、安定期に入り、しかしやがて終わりを迎える。引越しであれ、卒業であれ、転職・退職であれ。そして人間関係は現在形…

だから、優しいあなたはモテないのです

ネットの世界では「優しいのにモテない人間(たいてい男性)」が大きな存在を見せている。日本には限らず、"nice guys finish last"みたいなことを言うし、わりと広く見られる言説なのだろう。散々語られていることではあるが、あえて書いてみることにする。…

たとえだれも見てなくても

うそをついてはいけない。それは人にバレて怒られたり嫌われたり不利益を蒙るからではない。そういうケースもあるだろうが、それはうそが下手なだけだ。 どんなにバレないケースでもうそをついてはいけない。なぜならあなたは必ずあなたがついたうそを知るか…

裁いてはならない

あの人はバカだ。あの人は性格が悪い。あの人はキモい。あの人はチャラい。あの人は人生無駄にしてる。あの人は……。ああいう生き方は醜いよね。あいつファッションださいよね。あいつ調子乗りすぎてるよね。あいつかっこいいからって鼻にかけてるよね。あい…

よそものになる勇気

人は、よそ者であることに慣れていない。 みんな「続編」が好きなのだ。すでに知っていることの続きが好きなのだ。新しいことよりも既知のことを好む。シンゴジラを見ればわかる。あれは「日本社会」という物語の続編だ。コンテキストを共有している人たちの…

あやつる・あやつられる

わたしが思うに、この世で最も警戒するべきは、権力者ではなく、体格がたくましい人間ではなく、頭が切れる人間でもなく、感情が爆発的に激しい人間でもなく、腕の立つ役者だ。 何かを演じている人間には注意を払わなくてはならない。キャラクターを演じてい…

弱さをアイデンティティにしてはいけない

強いものは魅力的だ。ライオンや恐竜のように。一方、弱いものにも不思議な魅力がある。特に、その弱さが相手と共有されるときの引力はとても強い。けれどその引力には吸い込まれないように気をつけなくてはいけない。 ネットには、弱さを看板にしている人た…

故郷から逃げること

実際に正しいかというと疑いが大きいらしいが、「外国語でしゃべると別のペルソナになる」というのは本当だと思う。私なんかでも、英語でしゃべっていると、「さわやかにコミュニケーションできる、明るいけどまじめなやつ」みたいになれる。 これは作ったペ…

他人と比較して苦しむあなたへ

他人と比べて自分が優秀だのそうでないの一喜一憂するものではない。そういうのは言ってみれば受験勉強マインドだ。大人になったら人間はそんなに単純な一つの軸で評価できないことを知るべきだ。たとえ何らかの実績や昇進が非常に重要でも、それを達成する…

むやみに

むやみに約束してはならない。 Pacta sunt servanda, 約束したことはあなたを縛るから。約束を守る人間になるための一番の近道は約束をしないことだ。これは冗談で言っているのではない。本気で、むやみにできない約束をしてはいけない。したくない約束をな…

よい先輩になるために

何もしなくても気を遣われてしまうことを自覚する。非対称な関係だから、遠慮すべきところは遠慮するようにする。たとえいやでも、向こうからそうは言いづらいのだから。勘違いしてはいけない。あなたと後輩との距離は、あなたが思うほど近くない。あなたは…

スイッチをパチンと

スイッチというとどんな姿のものを思い浮かべるだろうか。某ゲーム機ではない。一般名詞の方だ。ボタンではなくて、二つの状態、オンとオフを持つもの。 まあ、なんでもいい、ちょっとそれを思い浮かべてほしい。それで頭の中でおもむろにパチンと切り替える…

尊敬されることは、孤独になること

先日、ある先輩にひさしぶりに会う機会があった。その人はこれまでに私が出会ったことのある人の中で一番と言っていいくらい尊敬する人だ。だから素直に言うことにした、「とっても尊敬しています」と。きっと喜んでくれると思って――。 しばしの沈黙ののちに…

人生は朝食バイキング

何人かで旅行して宿に泊まる。翌朝、朝食バイキングで、めいめい好きなものを皿に盛る。料理の選択肢には限りがあるのに、一人として同じ盛り付けの皿はない。これらはみな、それぞれの人生を映している。 人生において、決断力のある人間とない人間がいる。…

認知のゆがみ

「うちの代は変わってる人多いよね」と誰かが言う。わたしはあいまいに同意する。「あなたの認知の歪みはどこから?」と問いたくなるのをこらえながら。 だって、そんなの錯覚に決まってるではないか。うちの代が特に変わっているなんてことあるはずないのだ…

かける言葉

死にたがっている人と関わることが何回かあった。その誰も死んでいないし、実際どのくらい死ぬことに近かったのかはわからない。別にそれを知りたいわけでもない。ただ、少なくともその時点では、かなり危険でどうにかしなくてはいけない状況であるように思…

後知恵

後知恵だな、と思うことがよくある。よくわからないタイミングで妙に頭が回る。そのときだけ機関銃のように神経回路が発火して、どんどんアイデアが湧き出す。忘れる前に急いで書き留める。もし書き留められずに忘れてしまったら、もう戻ってこないから。普…

本当のミニマリスト

少し古い話題だが、ミニマリストなるものが一部で流行していたようだ。それはただアフィリエイト目的のブログが煽っていただけの実態のない現象だという説明も一理あるが、とりあえず実在した価値観だと考えることにしよう。 ミニマリストを人々がどう定義す…

言葉が好きな人

人と話しているとき自分の言葉遣いが正確でなかったことに気づいたらわざわざ話題を戻してでも訂正せずにはいられない人。 ほかの人の言葉遣いが間違っている気がするけどひょっとしたら自分の勘違いかもしれないからと黙っておく人。 そして後で確認して自…

予告編だと思ったら本編だった話

祖父母に会うたびに、いたく向こうがよろこぶ。ただ自分が顔を見せただけなのに。それは存在を肯定されたようでうれしいけど、どことなくむずがゆく思っていた。――これは、少なくない人に共通する、現在ないし過去に覚えた感傷なのではないだろうか。 でも、…

本気を出すこと

本気を出さない人がいる。そういう人は、だいたい忙しいふりをしている。いや、本当に忙しいのだろう。他のことが忙しいと言えば、ごまかせることを知っているのだろう。でも、本当は本気を出すのが怖いのだ。ある一つのことに全力で取り組んで、それが評価…

神様への反抗

もう会うことのないであろう人にいきなり連絡を取って会ってみる。降りるはずのない駅で降りてみる。いつもの目的地の反対側の出口で駅を出る、自分の趣味じゃなかったはずの服を買ってみる。そうやって、神様が定めた因果の円環ではきっと起きなかったこと…

過去から自由になること:自分の外にある自分

「自分」は自分の外にある。自分が何者であるかは、自分が持っている物、自分がいる場所、自分の人間関係、そういうものによって規定される。単に外からそういうふうに見られるというわけではない。自意識の上でも、全面的に影響されるのだ。自分とは、一つ…

What do they do here?

それほど長い期間ではないが、海外で辺境の村に滞在したことがある。かつて鉱物資源の採掘で栄えていた歴史は夢の跡。農業ができるような土地でもないし、かといって狩猟採集で自給自足生活をしているわけでもない。わずかな観光収入があるくらい。都市に出…

「いい子」という呪い

以前、ほんの短期間保育園でボランティアをした。子どもをあやしているときに、ふと口をついた、「いい子だね」。 ……どうして自分の口からその言葉を発してしまったのかわからなかった。「いい子」という言葉は嫌いだ。それは、呪いだから。 いい子、と言わ…

「国際人になりたい」のパラドックス

私はある時期「国際機関で働きたい」とか思っていた口だ。そうすることが、私に国を問わない自由なキャリアを与えると信じていたから。 ところが、これはまったく逆であることにあるとき気づいた。国際機関というのは、要するにNation Statesがその利害関係…

分断された世界

アクティブに学生の活動をいろいろしていて、SNSを活用していると、世間は狭いなと思う瞬間がたびたび訪れる。友達の友達は友達、つながってる現象。大学を超えて、国を超えて、予測を超えて、びっくりするほどいろいろなところでつながっている。でもこれは…

人生はチェックリストではない:「何事も経験」というまやかしと、パスする勇気

人生はチェックリストではない。アイテムを獲得、achievement unlocked、ステージ攻略、そういうゲームとは違う。なのに、人生をただチェックを埋めていくことを目的に生きているように見える人がたくさんいるように思う。自分もたぶんその一人だ。一度はあ…

私のいない世界

Facebookの友達かもに急に浮上してくる人がいる。プロフィールを見て、共通の友達を見て、「ああ、この人はあの場所であの人たちと出会ったのだな」とひとりごちる。そこにどんな言葉があっただろう。どんな想いがあっただろう。それは私には永遠に関係のな…

人生と飛び石渡り

人生は、飛び石を渡っていくようなものだと思う。ある石からある石へ、いくつかの居場所、人間関係、やること、ないしは価値観を持ちながら、順々に渡り歩いていく。 そこで大切になるのは、「自分の体重に気づき、自覚的に体重を乗せる」ということ。どこか…